基本的な考え方
東ソーグループの化学製品は、製造過程で適切な管理をしなければ、生態系を含む自然環境に大きな影響を与える可能性があります。また、化学製品の製造では、エネルギーや鉱物、水などの資源を利用するため、サプライチェーン全体においても生態系に影響を与えている可能性があります。
東ソーグループは持続可能な社会の実現に向け、事業活動と地域社会への貢献活動を通じて生物多様性の保全に積極的に取り組みます。
また、従業員への一層の啓発を図るため、2020年度から環境・安全・健康基本理念の行動指針に「生物多様性保全活動への取り組み」を盛り込み、社内教育などを通じて生物多様性を育む認識を深めています。
生物多様性保全に向けた取り組み
協議会などへの賛同・参画
東ソーグループは、環境・安全・健康基本理念の行動指針で生物多様性につながる地域に根付いた環境保全活動を推進しており、地域ごとに自主的な活動を行っています。海洋プラスチック問題に対する取り組みの一環として、日本プラスチック工業連盟の「プラスチック海洋ごみ問題の解決に向けた宣言書」に署名しています。この活動は、海洋プラスチック問題に対して、自主的に取り組みを推進し、社会にアピールしていくことを目的にしたものです。
また、2024年に「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」に参画しました。2023年12月に改定された経団連生物多様性宣言・行動指針に賛同し、自然共生社会、サステナブルな経済社会の実現に取り組むとともに、GBF※1、SDGs、30by30※2といった世界目標や我が国の生物多様性国家戦略の達成に貢献していきます。
- Global Biodiversity Framework : 2022年12月生物多様性条約の第15回締約国会議(COP15)において新たな目標を設定
- 2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる自然再興(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標。南陽事業所の敷地の一部は、2023年に30by30保護地域(陸域)に指定され、さらなる生物多様性保全活動を推進
プラスチック問題への対応
東ソーは、廃プラスチックの削減において「マテリアル・ケミカルリサイクルの推進」を社会貢献と位置付け、循環経済の進展も踏まえ、大学や国の研究機関との共同研究によるリサイクル技術の開発を進めています。一例として、NEDOの先導研究委託事業に採択された「多層プラスチックフィルムの液相ハイブリッドリサイクル技術の開発」に参画しています。リサイクル可能なプラスチックの開発を目指すと同時に、環境負荷を抑える取り組みを積極的に進めています。
事業活動との連携
南陽事業所では、周南市内から発生する街路樹などの剪定枝などを木質バイオマス燃料として有効利用するための協定を市と締結しています。これによって、限りある資源の有効利用と気候変動対策にも貢献しています。また、事業所内で発生した剪定枝葉や落ち葉などを堆肥化し、樹木の育成および緑地管理に活用しています。
さらに、2021年より周南市と近隣の会社の共同で、木質バイオマス材利活用および森林整備などに関する連携を推進しています。
地域社会への貢献活動
東ソーグループは自然との共生社会の実現に向け、地域と連携した環境保全活動を推進しています。
里山保全活動
南陽および四日市事業所では、地域の里山保全活動に積極的に取り組んでいます。毎年、南陽事業所では山口県主催の「まちと森と水の交流会」に参加し、四日市事業所では四日市自然保護推進委員会主催の里山保全活動を実施しています。引き続き、里山の保全活動を推進し、生態系の維持に努めていきます。
地域清掃ボランティア
東ソーでは、事業所近隣の市街清掃および海岸や河川周辺の清掃を行っています。
南陽事業所では、クリーンアップ・マイ・NANYOや近隣の構外清掃および長田海岸清掃などの地域貢献活動を通じて、周辺地域の美化に努めています。
四日市事業所では、31の企業・団体による霞ケ浦地区環境行動推進協議会に参画し、環境ボランティア活動を継続しています。活動のひとつとして、三重県主催の「伊勢湾 森・川・海のクリーンアップ大作戦」に賛同し、近隣海岸の清掃やコンビナートと埠頭側の統合清掃などを行っています。
東京研究センターにおいても「河川をきれいにする会」に参加し、河川のパトロールなどを行っています。
東ソー苗木基金の創設
2024年4月10日、山口県内の森林で伐採された林地残材の有効活用と、伐採後の森林における再造林を促進するため、山口県、山口県森林組合連合会の三者による「東ソー苗木基金の創設に関する協定書」を締結しました。
東ソーは、林地残材から生産された燃料用チップを受け入れ、南陽事業所の自家発電燃料として有効活用するとともに、燃料用チップの受け入れ量に応じた基金を拠出します。山口県森林組合連合会が本基金を活用して苗木を森林所有者へ供給し、伐採後の再造林を促すことで、森林の有する多目的機能の維持と森林資源の循環による林業振興を図ります。
- 基金スキーム