エッセンシャルプロダクト
エッセンシャルプロダクトとは、産業や人々の生活に必要不可欠とされる製品、かつ素材の特性を強みとして代替しにくい製品と定義しています。代表的な製品として、苛性ソーダ、塩ビ樹脂の原料である塩ビモノマー(VCM)やウレタン材料の原料であるイソシアネートが挙げられます。
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- 苛性ソーダ
- 用途:
- 化学繊維、紙・パルプ、アルミニウム製造などの多分野で使用
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- 塩ビモノマー(VCM)
- 用途:
- VCMは塩ビ樹脂の原料であり、塩ビ樹脂として、パイプ、フィルム、シートなどに加工して多分野で使用
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- イソシアネート
- 用途:
- ウレタンの材料であり、合成繊維、断熱 材、塗料、接着剤などの多分野で使用
ソーシャルインパクトの評価の背景
エッセンシャルプロダクトは、社会の持続的な発展に不可欠な製品です。一方で、基礎化学品であり、サプライチェーンの川上で活用されるため、最終的に社会に対して提供している価値が直接的に見えづらいです。そのため、提供している価値を把握するためにはサプライチェーンの川下も含めた整理・検討が必要です。東ソーは、エッセンシャルプロダクトが社会に提供している価値を把握し、より高めていくため、ソーシャルインパクト評価に取り組みました。
ソーシャルインパクトの評価の方法
ロジックモデル作成を通してソーシャルインパクトを評価しました。ロジックモデルのフレームワークとして、川下での用途(東ソー製品を用いて製造される素材・製品)をアウトプットとして整理し、それら用途のアウトカムと社会へのインパクトを特定しました。そのうえで、一部の主要用途についてアウトカム・インパクトの定量化を始めました。
用語の定義
- アウトプット:
- 事業活動を通じて提供される製品・サービスの川下での用途
- アウトカム:
- 製品・サービスが川下で利用された結果、ステークホルダーへもたらす便益・効果
- インパクト:
- アウトカムが継続的に生み出されることで、経済・社会・環境へもたらす価値
エッセンシャルプロダクトの供給を支える東ソーの経営資源/強み
東ソーはビニル・イソシアネート・チェーンを構築し、ハイブリッド経営を行うことによって、低コスト・低環境負荷での製造と安定供給を行い、持続的な新製品開発を行うことを強みとしています。
ロジックモデル
エッセンシャルプロダクトは、川上の素材・製品製造に用いられ、川下での用途は多岐にわたります。ソーシャルインパクトの可視化にあたり、まずはアウトプットを洗い出しました。洗い出した用途ごとにアウトカム・インパクトを特定し、ロジックモデルとして下図のように整理しました。用途が多岐にわたるため、主要用途、主なアウトカム・インパクトを抽出して記載しています。
苛性ソーダ
苛性ソーダのアウトプットはモビリティ、エネルギー、ヘルスケア、日用品などの多分野にわたります。生産プロセスで大量のエネルギーを必要とする一方で、車体の軽量化、電化の推進や再生可能エネルギーの普及などのアウトカムによってCO₂排出量削減にも貢献しています。
塩ビモノマー(VCM)
VCMは塩ビ樹脂の原料として用いられます。塩ビ樹脂(PVC)は熱可塑性樹脂であり、加熱し目的の形に成形することで、日用品、医療品、建築資材などに幅広く用いられています。特に農業用フィルム、水道パイプライン、食品保護フィルムなど、人々の安全な食糧へのアクセスを支える重要な役割を担っています。
イソシアネート
イソシアネートはウレタンの原料として用いられます。ウレタンは断熱材(建材、冷蔵庫用など)、合成皮革、スパンデックス(弾性繊維)として、身の回りの日用品に幅広く活用されています。日用品以外にも木質ボード製造のための硬化剤やトンネル施工時の岩盤固結剤にも用いられるなど、人々の基本的な生活と産業に欠かすことのできない素材です。
ソーシャルインパクトの試算
「苛性ソーダ」「VCM」「イソシアネート」のアウトプットについて、特定したアウトカム・インパクトの定量的な試算に取り組み始めました。今後も、試算を通じて東ソーの製品が与えるインパクトを定量的に可視化するとともに、事業活動を通じたインパクト拡大に向けた取り組みを検討・推進していきます。
製品 | アウトプット | アウトカム | インパクト | 試算・分析項目 |
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苛性ソーダ | リチウムイオン電池 (電気自動車の 車載電池) |
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アルミニウム (自動車の車体) |
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VCM・PVC | 農業用フィルム (軟質塩ビ) |
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PTP (薬剤包装シート) |
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イソシアネート・ ウレタン | 木質ボード (接着剤の硬化剤) |
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岩盤固結剤 |
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