基本的な考え方
東ソーグループは、RC推進体制の下で、品質管理の徹底、物流品質の確保に努め、品質マネジメントシステムを確実に運用し、顧客のニーズを反映した製品・サービスをタイムリーかつ安定的に提供することで、顧客満足度の向上を図ります。また、製品に関連する法令・規則要求項目を遵守しながら、継続的な品質向上に取り組みます。
品質マネジメントシステムの維持・改善
東ソーグループは、それぞれの製品や組織体制に適した品質マネジメントシステムを構築し、ISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO13485(医療機器産業関連の品質マネジメントシステム国際規格)などの認証を取得して、製品の品質およびお客さま満足度の向上に努めています。
認証事業所とグループ会社については、品質マネジメントシステムに関する活動の内部監査と外部監査の結果を受け、事業所長、工場長などによるマネジメントレビューを行い、品質マネジメントシステムの向上を図っています。
内部監査
東ソーの品質マネジメントシステムの運用確認、継続的なレベルアップを目的に、事業所内で毎年内部監査を実施しています。2023年度は購買プロセス、購入品の検証までの製造プロセス、設計開発プロセスにおける品質目標の計画に対する実績ならびに前年度監査の是正に関するフォローアップ状況の確認などの内部監査を62部門に実施しました。また、事業所に対しては毎年、本社がRC監査を行っており、2023年度は関連部門との連携強化による製品苦情の削減、現場巡視とリスクアセスメントなどによる苦情未然防止の取り組み、防止策の維持状況確認、および納入仕様書記載内容の確認製品などをテーマとして実施しました。
グループ会社への支援
東ソーは、グループ会社の品質マネジメントを支援し、定期的な意見交換の場を設けています。取引先への監査実施についてのアドバイスや品質保証体制強化の支援およびサプライヤー監査に使用する監査チェックリスト改訂版を紹介するなど、グループ全体の品質レベルの維持・向上にも努めています。
2023年度は品質管理調査の一環として、品質管理体制に関わる自主的な調査を25社に対し実施しました。その結果、東ソーグループとして法令違反および最終ユーザー使用時に環境や製品安全に関して影響を与えるような事案は検出されませんでした。
また、2022年11月から2年計画で、グループ会社の品質管理システムに関するアンケート調査および実施調査を行いました。その結果を基にグループ会社のシステム不正につながる恐れがある脆弱性箇所(不正の3要素:動機・機会・正当性に関する事象)の検出ならびにその改善を図る活動を実施しました。一部でデータの鉛筆書きや修正液を使用しているなどの脆弱性が検出されたものの、法律違反や不正はありませんでした。
なお、脆弱性が検出されたグループ会社に対して、改善指導および品質コンプライアンス教育を実施し、不正発生の未然防止に努めています。
サプライチェーンにおける取り組み
東ソーグループは、主要な取引先や生産委託先に対する監査も実施しており、品質保証体制、品質管理状況、苦情再発防止の対応状況、過去の不適合案件に対する再発防止策維持管理状況、品質コンプライアンス活動状況および事業継続計画などを確認しています。 2023年度は取引先、生産委託先の計74社の監査を現地、書面などで実施しました。監査で検出された課題や問題点については改善を進めています。
その他、社外タンク基地7カ所に対して定期監査を実施し、品質管理体制および維持状況の確認を行っています。
サプライチェーン管理体制
製品の品質向上
事業所での取り組み
事業所ごとに品質方針を定めて品質の維持・改善と製品に関する苦情の削減や、お客さま満足度の向上に努めています。
事業所およびグループ会社で発生した苦情は毎月速報として配信し、情報を共有するとともに類似の苦情の未然防止を図っています。
2023年度は、過去に発生した不適合に対する再発防止策のフォローアップやリスク評価に基づいた異物混入対策の実施状況と作業手順の確認、納入仕様書の総点検などを実施しました。また、品質マネジメントシステムに関する教育を実施し、品質管理に対する認識の向上を図りました。なお、製品苦情発生件数は12件でした。2023年度もPL※事故および品質に関わる法令違反はありませんでした。
また、異物混入や製品包装材の汚れ、破損を抑えるため、品質現場巡視を実施しています。製造プロセス由来の異物混入防止対策状況、原料・包装資材置場、製品置場、倉庫設備の管理状況および苦情の再発防止策が適切に行われていることを確認しています。
- Product Liability(製造物責任)
製品苦情、PL事故、法令違反件数実績(東ソー単体)
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
---|---|---|---|---|
製品苦情発生 | 10 | 11 | 15 | 12 |
PL事故 | 0 | 0 | 0 | 0 |
品質に関わる法令違反 | 0 | 0 | 0 | 0 |
医薬品・医療機器での取り組み
東ソーでは、心臓疾患、がんなどの各種疾病や糖尿病などの生活習慣病の診断、および不妊治療などに役立つ体外診断用医薬品、その他に新型コロナウイルスの遺伝子検査や抗原定量検査の試薬などの医療機器を製造販売しています。
体外診断用医薬品や医療機器の製造販売をするため「医薬品医療機器等法※」で定められた体外診断用医薬品および医療機器に関する製造販売業許可を取得し、製品の有効性・安全性を確保するための管理体制を整備しています。2023年度は品質保証体制強化を目的とした製造業者の監査を、5製造所を対象に実施しました。
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
物流クレーム・トラブルの低減
東ソーの製品は主にトラック・船舶輸送にてお客さまに届けられます。危険物や毒劇物など、法で規定されている物質が含まれる製品もあることから、荷物の積み込みから輸送中、納入先での荷卸しまでの管理が重要となります。
そこで、物流部門が中心となり、物流に関する事故発生件数およびクレーム・トラブルの年間発生率※を抑えることを目標に活動しています。
- 発生率=物流クレーム・トラブル発生件数/輸送件数×1,000,000
クレーム・トラブル低減の取り組み
物流RC推進委員会を四半期ごとに開催し、クレーム・トラブルの原因、対策について議論し水平展開しています。物流協力会社へは定期的に教育、指導、監査(2023年度は監査76社実施)を行いました。具体的には、危険物、毒劇物などの荷積みや荷卸しのマニュアル・チェックリストの徹底に加え、化学製品の取り扱いに関する安全教育なども行っています。モデル職場を設定し、事故防止対策を実施。トラブル件数は減少しており、他部署への展開も予定しています。ほかにも納入先での労働災害やトラブルを未然に防止するため、納入先の危険箇所を調査し改善を依頼する取り組みも実施しています。また、輸送機器への安全設備導入も積極的に進めています。