東ソーはMOディスクの製造設備の増設を進めてきたが、このたび完工、年産500万枚の生産体制を確立した。設備は当初よりフル稼動が予想され、さらに拡大していくMOディスクの需要に対応するため、あわせて次期増設の検討にも入った。
なお、MOディスクの生産は、85年6月設立、93年6月いち早くISO9000シリーズを取得している東ソーの100%子会社である東ソー・エレクトロニクス(山形県米沢市)で行っている。
東ソーは、これまで、デボトルネッキングにより生産能力を年産240万枚までに引き上げ、堅調に成長していくMOディスクの需要に対応してきた。しかし、ここにきて画像データなど膨大な情報を管理できる大容量記録ディスクのニーズの高まりなどから、市場が急激に拡大、旺盛な需要を満たすため今回の増設に至った。
MOディスクは書き換え可能な持ち運びのできる記録媒体で、同じ特長を持つものとしては、FD(フロッピーデイスク)、可搬式HD(ハードディスク)、PD(相変化型光ディスク)などが挙げられるが、普及度、耐久性、信頼性の面でやはり大容量メディアの本命とされている。
MOディスク販売の牽引役となるMO駆動装置(ドライブ)では、3.5型の国内出荷累計台数はすでに100万台を突破、現在好調の記録容量230MB(メガバイト)装置に加え、今秋から640MB装置も本格的に立ち上がり、ますますMOディスクの普及に広がりを見せている。
さらに、マルチメディア対応の次世代媒体としてDVD (デジタル・バーサタイル ・ディスク) があるが、MOディスク及び駆動装置においては記録容量7GB(キガバイト)の登場も予想され、将来にわたりなおいっそうの市場の拡大が見込まれている。
東ソーは、今回のMOディスクをはじめ、半導体製造用の石英ガラス、薄膜形成材料のスパッタリングターゲット、電池材料の電解二酸化マンガン、 光ファイバーのコネクター用部品として使われるジルコニアなどの「電子・情報分野」をスペシャリティー事業の一環としてグローバルに展開、既にこの分野で東ソーグループとして年間500億円に迫る売り上げをあげている。今後もファイン・ケミカル分野、機能材料分野、バイオサイエンス分野と共に電子・情報分野をいっそう強化しながら、スペシャリティー事業をビニル・チェーンや石化事業に続く第3の経営の柱として育成していく。