東ソーは、南陽事業所において、昨年9月よりジルコニア粉末の増設工事を進めてきましたが、8月10日に完工、ただちに営業運転を開始します。
今回の増設により、生産能力は年産370トンから同620トンとなります。
現在、世界的なインターネットの普及により、大容量伝送に対応した光ファイバーケーブルの新規敷設が活発化しています。これに伴い、ジルコニアを使用する光ファイバー用コネクタ部品の需要も急速に伸びています。
ジルコニアは光ファイバー用コネクタの「フェルール」(コネクタのオス部分)と「スリーブ」(同メス部分)に使用されていますが、これは、その優れた耐摩耗性としなやかさ、表面のきめ細かさ、コネクタ同士を接続した際に発生する光情報のロスを最小化できるという特性から、同用途では欠かせない材料となっています。
東ソーは、現在、ジルコニア世界需要の約6割のシェアを有する世界最大のジルコニア粉末の製造メーカーで、特に光ファイバー用フェルール向けには9割前後のシェアを有しています。
今後も電子・情報通信分野向けの需要増加が予想され、今回の増設工事完了後も引き続き需要動向に応じ、積極的に能力増強を検討していきます。
東ソーが生産しているジルコニアは、イットリア安定化ジルコニアというタイプのジルコニア粉末で、オーストラリア等の海岸で取れるジルコンサンドという砂を原料に、安定化剤にイットリアを添加して作られます。特にイットリアを5%添加したジルコニアは、従来のセラミックスの弱点である脆さを克服した画期的なファインセラミックスで、「高強度・高靭性ジルコニア」とも呼ばれ、IT(情報通信)関連等の先端分野を中心に需要は大幅に伸びています。