ペースト塩ビ
(リューロンペースト®)
特徴
粒子径を精密制御して作られた特殊塩ビです。
用途
常温で流動性が高く、加工性に優れる特徴を活かし、壁紙、床材(クッションフロア、タイルカーペット)、自動車、手袋、字消し、レザー製品、帆布、玩具などに幅広く使用されています。
生産体制
ペースト塩ビは南陽事業所(山口県周南市)で生産しています。
原材料である塩ビモノマーからの一貫生産体制を構築しており、品質面、供給面において優れた安定性を有しています。
グローバル体制
日本国内での生産・研究開発を中心とし、高付加価値・差別化製品を国内外へ販売しています。
社会貢献
高付加価値・差別化製品の販売を通して、社会や環境の課題解決に貢献しています。
ペースト塩ビ(リューロンペースト®)のしくみ
1.汎用塩ビとの違い
汎用塩ビの一次粒子が数十~数百μmの非球状粒子であるのに対し、ペースト塩ビは0.1~数μmの真球状で、粒子径が揃った一次粒子となります。
項目 | 汎用塩ビ | ペースト塩ビ | |
---|---|---|---|
外観 | 白色粉末 | 白色微粉末 | |
一次粒子径(μm) | 50~200 | 0.1~2 | |
粒子形態 |
多孔質 不定形 |
非多孔質 球状 |
|
可塑剤 吸収性 |
混練時 | 多 | 少 |
成形時 | 多 | 多 |
2.製造法
塩ビモノマー、開始剤、乳化剤、水などを用いて粒子径0.1~数μmの塩ビラテックスを重合し、その後噴霧乾燥により紛体状の製品とします。製品形態は紛体の流動性の違いにより、微粉タイプと顆粒タイプの2種類に分類されます。顆粒タイプは紛体流動性が高く、ハンドリング性に優れます。
3.加工法
可塑剤、安定剤、その他配合剤と共に混練してペースト塩ビゾルを調製します。このゾルはコーティング(壁紙、床材)、ディッピング(手袋)、スラッシュ成型(人形)、スプレーコーティング(自動車アンダーボディーコート)等の方法で成型し、その後加熱工程を経て最終製品となります。
4.ペースト塩ビゾルの粘度挙動
ペースト塩ビゾルはせん断速度によって粘度が変化する非ニュートン流体です。一般に低せん断領域ではせん断速度が低下するほど高粘度となるため耐タレ性に優れ、高せん断領域ではせん断速度が増加するほど粘度が低下するためコーティング適性に優れています。
5. ペースト塩ビゾルのゲル化溶融挙動
ペースト塩ビゾルは加熱により液体状態から固体状態へと変化し、最終製品となります。ゾルを加熱すると塩ビ粒子への可塑剤吸収が進行し徐々に流動性が失われ、次第にゾル状態からゲル状態へと変化します。さらに加熱を続けると溶融が進行し、粒子の輪郭が消失します。十分な機械的強度を発揮させるためには、完全溶融させる必要があります。(酢ビコポリマーグレードはホモポリマーグレードと比べ溶融温度が低く、低温での加工に適しています。)