PROFILE

南陽事業所の製造部(自家発電所)を経て、設備管理部へ。そして3年目からは四日市事業所の設備管理部にて、日常的なプラント保全や定期修繕、プラント建設や増設などの大型工事の計画・実行を手がけている。

製品の安全・安定生産のためには
設備が正常に動き続けることが大前提。
その当たり前を維持するのが私たちの使命です。

東ソーに入社した理由は?

大学時代の研究テーマは回転機械の異常診断技術の精度向上についてでした。所属研究室の教授が数多くの化学メーカーと共同研究を行っており、そんな環境の中で自然に化学メーカーに興味を持ちました。就職活動では化学メーカーか、プラントエンジニアリングメーカーかという選択肢の中で、自社プラントの建設に関わりたいという想いが募り、最終的には化学メーカーを志望。中でも東ソーは、単一工場の中では日本最大級の敷地面積を誇り、しかも新規プラント建設に挑める機会もあると聞き、一気に志望度が高まりました。特に事業所を見学したときのインパクトは大きく、機電系の活躍の場として「こんな面白いフィールドがあるなんて」という想いに至り、入社を決意しました。

所属部署の役割を教えてください。

四日市事業所には大小合わせて数千基の機器からなるさまざまな設備がありますが、製品の安全・安定生産のためには設備が正常に動き続けることが大前提です。その大前提を何が何でも守るのが私たちの使命です。具体的には、設備トラブルを発生させないための保全計画を立て、そして万一トラブルが発生した場合には技術的検討と原因究明の上、速やかな修理を実行します。また、高圧ガス保安法や消防法などに関わる法令関係工事の際の官庁対応なども行います。さらには新規プラントや増設など大型工事の計画・検討・実行なども私たちの仕事です。

常時フル回転している担当機器に対して
「ご苦労様」という気持ちが芽生えてくる、
そんなところにもやりがいを感じています。

現在の仕事について教えてください。

あるプラントで発生する反応後の残留物に対して自社技術を利用し、付加価値の高い物質を取り出すためのベンチプラントの建設に携わっています。プラントの建設には製造部門、研究部門、プロセス開発部門、設計部門、そして私たち設備管理部門など社内の多くの専門家の知見が必要です。それら知見の融合によって成り立つ一大プロジェクトこそがプラント建設で、私は各部門の専門家からの意見を集約する役割を担当。各々の機器やプラント全体の仕様を決定し、機器発注から建設工事の工程調整、そして工事現場の統括を行っています。一方、他プラントの能力増強プロジェクトや大型機器の更新計画も担当。もちろん定期修繕やトラブル対応なども日常業務として行っています。

プラントに携わる中で面白いと感じる部分は?

工事現場では当初の設計通りにならないケースも多く、都度設計変更をしながら調整する必要が生じます。また、新設工事にしても修理にしても、機器メーカー、工事会社、商社など、多くのパートナーとやりとりをするので、正直、大変なことも多いです。ですが、今まで何もなかった更地に自分が計画に関わったプラントが建つと思うと、単純にワクワクしますし、向き合う相手はそれぞれの道のプロであり、彼らとの関わりの中でディープな知識を吸収しながらスキルアップできることも今の仕事の醍醐味となっています。このように日々の仕事に向き合う過程で、担当プラント、担当機器への愛着が日増しに高まり、常時フル回転している機器に対して「ご苦労様」という気持ちが芽生えてくる、そんなところにもやりがいを感じています。

「常に基本に立ち返ることの大切さを肝に銘じろ」
という意識を徹底しています。

今までにぶつかった大きな壁はありますか?

東ソーのプラントは24時間連続運転のものが多く、基本的には年に1度だけ停止させ、数週間から数カ月かけて大規模な定期修繕(定修と呼ぶ)を行います。入社4年目の定修時に私が整備を担当した大型ブロワをプラント運転再開前日に試運転した際に、大きな振動が発生するトラブルが判明。次の日までに原因究明を行い、運転開始可能になるよう再整備を完了させなければならず、できなければ生産損失につながるという危機に直面したことがあります。

その壁をどう乗り越えましたか?

一旦は完全に血の気が引いてしまいましたが、周りの先輩方のサポートもあり、必死で原因を突き止めた上で修理し、ギリギリで間に合わせることができました。原因は、ベアリングを収めるケースを反対向きに据付けたという、至極初歩的なものでした。この一件で得た教訓は「常に基本に立ち返ることの大切さを肝に銘じろ」というもの。以来、着手する案件の規模が大きいときこそこの意識を徹底しています。

今の自分に足りないものはありますか?

設備の保全担当として、まだまだ足りないことだらけというのが率直な想いです。特に足りないと感じるものを挙げるなら、アカデミックな知見でしょうか。材料力学、熱力学、流体力学などは、普段の業務をこなすだけでは身につかないので、自ら文献を読んだり、関係各社のエキスパートから話を聞いて専門技術を学んだり…と、自ら意識してアカデミックなアプローチをしていこうと思っています。エンジニアとしての能力の差は、このアプローチ次第だと思うので、今後もこのスタンスで臨み続けるつもりです。

ぜひ一度、化学プラントの現場に
足を運んでみてほしい。
そして機電系が活躍できるフィールドであることを
目の当たりにしてみてほしい。

3年後の自分は、どうありたいですか?

3年後には完全に部署の中心となって周りを引っ張っていく存在にならなければなりません。これからの大型プロジェクトへの参画を成長のチャンスと考え、スキルを磨くとともに、工事のマネジメント力も意識して高め、頼れるリーダーになっていたいと思います。また、現在関わっているベンチプラントについても、生産効率をアップできるように改善し、実プラントへのスケールアップを果たしていきたいですね。

最後に学生たちへのメッセージをお願いします。

機械専攻や電気専攻の人にとっては化学メーカーである東ソーは馴染みがなく、就職活動の際に、選択肢になりにくいのが現状かもしれません。しなしながら、ひと度プラントに足を踏み入れれば周りは機械設備ばかりであり、それらの機械を動かすには電気機器や計装機器が必須であることに気づくはずです。だからぜひ一度、化学プラントの現場に足を運んでみてほしい。そして機電系が活躍できるフィールドであることを目の当たりにしてみてほしいと思います。私自身も化学プラントの現場の迫力に圧倒され、多くの気づきを得て今ここにいるのですから。