基本的な考え方
東ソーグループは、RC推進体制の下で、化学物質管理に関する活動を推進しています。お客さまが製品を安心・安全に使用できるよう、化学物質の正確な情報を把握し、製品に含有する化学物質に関する情報を公開・提供しています。 さらに、国内外の化学物質に関する法規制に確実に対応するため、最新の情報を収集し、説明会や教育などを通じて事業所、関連部門およびグループ会社と共有しています。
法令対応
新たに製品を上市する場合、各国の規制に従った届出、登録、数量届出などが必要となります。東ソーでは各国で実施・検討されている、既存物質のデータ提出を義務付けた法規制の改定に対応しています。
国内では、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律（化審法）、労働安全衛生法（安衛法）に基づき、新規化学物質の申請や化審法の一般化学物質などの製造輸入数量の届出などを行っています。2023年度は化審法、安衛法の新規化学物質および少量新規化学物質の届出・申出、化審法の数量届出について適切に対応しました。また、安衛法改正に伴い義務化された、化学物質管理者と保護具着用管理責任者の選任についても問題なく対応しました。その他にも、毒物および劇物取締法に基づいて、本社移転時の登録申請や販売管理状況の確認を実施しました。
海外の法規制については、EU-REACH※について輸出数量の管理を継続、規制内容を確認の上、適切な対応を行いました。
なお、2023年度は化学物質の登録、届出に関する法令違反の発生はありませんでした。
- 欧州における化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則。
化学物質規制に関する教育
東ソーでは、化学物質の法規制に適確に対応するため、関連部門やグループ会社に対して継続的に教育を行っています。
2023年度は、本社、事業所、研究所、グループ会社を対象にSDS※に関する改正安衛法への対応について、作成・承認を行う部署を対象に説明会を実施しました（2023年5月に約100人、2024年2月に約130人が参加）。また、国内外の法規制動向や、化学物質の危険性・有害性などに関する教育のため、外部講師によるWEB講演会の配信を実施しました（延べ約290人が参加）。
- 含有する化学物質やその危険有害性などを記載する「安全データシート」。
化学物質管理の強化
2023年9月に開催された第5回国際化学物質管理会議（ICCM5※1）で、国際的な化学物質管理への戦略的アプローチ（SAICM※2）の後継となる化学物質に関するグローバルな枠組み（GFC※3）が採択されました。これにより「環境と人の健康を保護するために、化学物質と廃棄物による害を防止し、またはそれが実行可能でない場合は最小化する」という目標が設定されました。この目標達成のため、廃棄物を含む化学物質のライフサイクル全体を通じた管理が求められています。
国内では、安衛法の改正により、新たな化学物質規制が施行されました。この改正により、危険性・有害性のある化学物質を扱う際には、ばく露量を最小限に抑える対応が求められます。具体的には、ラベル表示・SDS交付の対象となる化学物質が大幅に増加し、SDSの情報などに基づくリスクアセスメントの対象となる化学物質が拡大され、作業者のばく露濃度を基準以下とする、作業者に適正な保護具を使用させる、といった対応が必要となりました。
東ソーでは引き続き、法令の制定・改正に関する情報収集を行い、リスクアセスメント、ばく露管理など、適切な化学物質管理を実施して行きます。また、お客さまに製品に含まれる化学物質の情報を提供することで、サプライチェーン全体における化学物質管理の強化とリスクの最小限化に努めていきます。
- the Fifth Session of the International Conference on Chemicals Management
- Strategic Approach to International Chemicals Management
- Global Framework on Chemicals - For a Planet Free of Harm from Chemicals and Waste
化学物質管理システム
東ソーでは、確実に法規制に対応するため、社内で取り扱う化学物質を一元管理できる化学物質管理システムを導入しています。このシステムは各製品に含まれる化学物質をデータベース化し、製品および含有化学物質がどの法規に該当するかを検索できる機能などを備えています。
また、お客さまからの製品に含まれる化学物質調査依頼に迅速に対応するため、一部の製品について証明書発行機能を利用し、製品担当部門から回答書や証明書を発行・提供しています。
今後もシステムの改善や機能追加を継続して行い、迅速かつ正確な対応を目指していきます。
システムイメージ
化学物質のリスク管理
化学物質のリスクは、化学物質の持つ危険性・有害性とその化学物質にさらされる量の積（ハザード×ばく露量）で表現されます。安衛法改正に伴い、2023年度からは化学物質のリスク評価、ばく露低減措置などについて自律的に管理を行う方針となりました。
東ソーでは、2023年度もリスクを適切に評価するためにSDSなどで危険性・有害性情報を入手し、CREATE-SIMPEなどのリスクアセスメントツールを必要に応じて活用することで事業所ごとにリスクを評価、適切に管理を実施し安全に使用しています。
製品安全審査
製造物責任法（PL法）の主旨に則り、全従業員が協力して製品の安全性の確保と適正な製品情報の提供に努めています。 製品安全審査会では、研究開発から製品販売までの各検討段階で原材料や製品の安全性の確認や法規制について審議しており、2023年度は、65回開催しました。
製品安全審査フロー
安全情報の公開
製品安全情報の公開
製品を安全にお取り扱いいただくため、全製品に対するSDSを作成・提供しています。一部の製品については、日化協の化学物質リスク評価支援ポータルサイト（JCIA BICDr）で安全要約書※1として公開しており、当ウェブサイトでもSDSを公開しています。2024年4月に施行された安衛法の改正に対応するため、対象となる製品のSDSを法施行前に改訂し、お客さまに提供しました。さらに製品をより安全に使用できるようSDSの改訂を進め、全製品を対象に製品の推奨用途や保護具の種類などの情報伝達を行っています。また、安衛法に基づくラベル表示※2については、表示対象物質を含む製品だけでなく、その他の危険有害性物質を含む製品にも実施しています。
- 自社で製造販売する化学品のリスク評価結果などを一般の人にもわかりやすくまとめたもの。
- 安衛法では、政令で定める有害物質などの容器や包装には、名称、成分、人体に及ぼす作用および貯蔵または取り扱い上の注意などについて、表示しなければならないと規定されている。
製品含有化学物質の情報伝達
東ソーは、アーティクルマネジメント推進協議会（JAMP）の会員企業として活動しています。2018年からJAMPが推進する製品含有化学物質の情報伝達スキーム（chemSHERPA）を使用してサプライチェーン上の情報の入手と管理、伝達を推進しています。これからもお客さまのご要望に対応するため、積極的に、迅速かつ確実な情報を提供していきます。