再生医療のトップランナーとなるために。
オール東ソーで難題に挑む姿を追う。

※掲載内容は取材・撮影時のものです。

INTRODUCTION

再生医療分野の産業化への動きが活発になっている。倫理や安全性など、クリアすべき問題も残されているが、一般社団法人「再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)」が結成されるなど、産学官一体となった取り組みが本格化している。大学などアカデミックな研究段階から国家プロジェクト予算が組まれる段階を経て、多種多様な技術を保有する企業の活力を結集し、今まさに実用化への道を探る段階へと入ってきている。

ANSWER

東ソーが導いたもの

東ソーはライフサイエンス分野を研究開発の重点ターゲットの一つとして位置づけている。再生医療分野もその一つで、分離剤など診断や計測分野で培った技術を、再生医療の実用化においても活用できると判断して本格参入を果たす。まずはiPS細胞などの万能細胞の培養関連周辺製品の研究開発をスタート。化学・生物・物理・電子という多彩な専門メンバーで構成されるチームが、保有技術や可能性の広がる技術を先端領域で独創的に活かすチャレンジをしている。

PROFILE

松永 太一
ライフサイエンス研究所 装置開発グループ

START

オール東ソーのポテンシャルを
再生医療に活かす。

再生医療分野で、東ソーの保有技術を応用展開できないか? 研究は、そんな着想からスタートしました。私の考える「再生医療の産業化の成功」の一つのマイルストーンとは、製薬企業やバイオベンチャーだけでなく、化学メーカーである東ソーのような企業が多数参入し、事業として成り立つことです。私自身、iPS細胞に関わるアカデミックの研究をしてきた経験から、「基礎研究の成果を、どう産業化に結びつけるか?」そんな観点で東ソー全体を見渡しながら、様々な可能性を探るアプローチを行っています。また、他社動向の調査および権利関係の調査も併せて行い、それに基づく研究方針の立案をしていくつもりです。異分野専攻の研究員の協力を得ながら、別の研究所の素材や技術の活用も含めて、「オール東ソーのポテンシャルを再生医療に活かそう!」そのくらいの感覚で研究テーマの探索を続けています。詳細は明かせませんが、今のところ、iPS細胞などの万能細胞の培養関連周辺製品の研究開発に着手しています。

CHALLENGE

革新的な材料や装置の研究開発コンセプトを
導き出すアプローチ。

東ソーの研究開発の仕事の特長、それは研究員にかなりの裁量が委ねられていること。私自身も、アカデミックの研究者時代と同様、自由に研究を進める機会を与えられています。どんな着想でも仮説でも、まずは独自の方法でトライできる環境がここにはあります。だからこそ想像もできないような製品や事業が、途中でつぶされることなく次々と生まれてくるのだと思います。まさか自分が、化学メーカーで再生医療関連の事業化を主導する立場になるなんて、数年前には想像すらしませんでした。でも、実際はこうして現実になっているわけですからね。このチャンスをぜひ活かして、大きな成果に結びつけ、いつか「再生医療の東ソー」の名を世界にアピールしたいと思っています。

現在、再生医療の研究をしている機関へのヒアリングを行いながら、「さらなるブレークスルーのために何が必要か?」を探り、そこから革新的な材料や装置の研究開発コンセプトを導き出すアプローチを行っているところです。今までの自らの知見と東ソーに入社して得られた知識や技術を合わせて、様々な研究者と向き合うと、ユニークなアイデアがどんどん湧いてきます。濃密なディスカッションの中から、すぐにでも着手できそうな実験テーマが見つかったりもします。そのため、所内で行う仮説検証の実験と並行し、研究機関へのヒアリングなどを行い、これだ!と確信できるものを創りたいと思っています。

AND NEXT

再生医療のトップランナーの
一角に身を置くことが、不変のビジョン。

第一弾の研究開発コンセプトが固まり、いよいよ本格的な研究開発がスタートする段階を迎えています。研究所トップや経営トップと向き合い、プレゼンしたり、議論したりする機会もあり、そこから次々と夢のあるテーマが浮上しています。まさに今年は東ソーの再生医療へのチャレンジ元年になりそうです。

再生医療分野は各国で特徴があり、今まさに市場が形成されつつあります。再生医療関連の特許数でトップを走るアメリカや再生医療等製品の上市数の多い韓国、FIRMや厚生労働省が中心となり世界に通用する基準づくりを進める日本など、海外の動向を常に見極めながら、再生医療の発展に貢献したいと考えています。

私たちが目指すのは、開発した培養関連周辺製品が再生医療研究における数々のブレークスルーを強力に後押しすること。そして常に再生医療研究のトップを走る研究者から注目され、信頼され、ともに最先端研究テーマと向き合い続ける、そんな重要なポジションを獲得することです。挑むからには、再生医療のトップランナーの一角に身を置きたい。それが私たちの願いであり、変わることのない確たるビジョンです。